江馬氏館跡庭園が名勝に指定されました
2017.10.23
こんにちは。
このところ毎日雨続きで、さらに台風まで…植木屋としては悩ましい日々です。
皆さま、台風の影響は大丈夫でしょうか。
先日、当店が15年程前に保存整備工事に携わった、史跡江馬氏館跡庭園が国の名勝に指定されました。
江馬氏館跡庭園は、室町時代から戦国時代にかけて、現在の岐阜県飛騨市あたりを掌握した江馬氏の下館の庭園です。
『月間文化財』によりますと、この庭園は、室町時代の庭園文化が地方へ伝わっていたことを示す事例として重要であることから、この度名勝に指定されたそうです。
ちなみに、こちらの庭園がある神岡町は、スーパーカミオカンデがあることで有名です。
江馬氏館跡庭園は一般公開されています。
よろしければ足を運んでみてください。
京都の植木屋 庭匠植清
京都の庭師、世界遺産平泉に行く!
2016.12.11
こんにちは。庭匠植清(にわしょううえせい)です。
先日、岩手県平泉の世界遺産の庭園に25m級超級のスギの木の剪定に行ってきました!
庭園の石積み修理
2016.11.27
こんにちは。庭匠植清(にわしょううえせい)です。
日本庭園では、塀や土留め、護岸などに、自然石を組合せて積み上げる、
“石積み”、という技術が多く使われています。
先日、名勝庭園の参道沿いの石積みの塀が、
一部ズレて、崩れる可能性があり、その部分を修理してきました。
この石積みのズレは、
長い年月をかけて徐々に石積みがゆるみ、
塀の後ろに生えている木の根っこが成長し、
塀を押していたことが原因でした。
このような状態で放置しておくと、
崩れてくることもあり危険です。
ですので、今回は、ズレた部分を一旦解体し、
後ろ側の木の根っこを整理して、
もう一度、石の積み直しを行いました。
石積みは、経年変化や周囲の影響を受けて、
少しずつ崩れてくることがありますので、
お庭にある方は、時々チェックしてみてくださいね。
また、石積みの後ろ側に土があり、土留めになっている場合、
土圧や水圧で、真横から見ると、
外側に弧を描いてふくらんでいることもあります。
このような状態を、専門用語で、“はらみ”、と呼びます。
このような状態は、石積みが、
「もう耐えきれなくなってますよ。そろそろ直してくださいね。」
と言っているサインです。
このような場合も、早く修理した方がよいと思います。
当店では、石積みの修理工事だけでなく、
技術指導も全国各地でさせていただいております。
日本庭園等の石積みの修理でお悩みの方、
お気軽にご相談くださいませ。
『日本の技体験フェア』にお越しくださいまして、ありがとうございました!
2016.11.14
こんにちは。庭匠植清(にわしょううえせい)です。
朝晩ずいぶん冷え込んできましたね。
京都では、もうだいぶ木々が色づいてきています。
去年より早いような感じがしています。
さて、だいぶ時間がたってしまいましたが、
10月22日、23日に群馬県前橋で開催された、
『日本の技体験フェア』、にたくさんの方にお越いただき、
誠にありがとうございました!
その様子を、ご報告させていただきます。
↑黒い帽子をかぶっているのが当店の代表です。
今年も、たくさんの方に、竹の穂で、
手箒(てぼうき)づくりを体験していただきましたよ!
女性やお子さんも、興味をもって熱心に参加してくださり、
うれしい限りです。
京都の庭園を見学されたときに、
苔がきれいだな~、と思われたことはありませんか。
この竹の穂の手箒は、苔を傷めないように、
落ち葉やごみを拾うことができます。
皆さんが、日本庭園を美しいと思ってくださるためには、
欠かせない道具なのですよ。
現在は、中国産の竹の穂を使った手箒が主流ですが、
やはり、国産の竹の穂を使った手箒のほうが、
柔らかくて腰があり、使い勝手もいいです。
小さな道具づくりではありますが、
少しでも日本の伝統的な庭の文化や伝統を、
身近に感じていただければ、とても嬉しいです。
来年も、全国のどこかで開催されます。
お近くの方は、ぜひ、ご参加くださいませ。
日本の伝統技術!匠の技を体験してみませんか。
2016.10.17
すっかり秋の気配ですね。
秋といえば、文化の秋!
ということで、今日は、
文化財を守る伝統的な職人の技を体験できる
イベントについてご紹介します。
文化財は、見ることはあっても、
修復したり、制作する職人さんや、
作業の様子をみることってないですよね。
そういった、普段裏方で支えている伝統の技にふれるイベントが、
もうすぐあります!
群馬県のヤマダグリーンドーム前橋で行われます。
全国から一堂に集まり、展示や実演など、技術を披露します。
他にもたくさんの団体が参加します。
文化財庭園保存技術者協議会もブースを出します!
こちらのブースでは、
日本庭園を管理する庭師の必須道具である、
竹の穂を使った『手箒(てぼうき)作り』の体験ができます。
竹の手箒とは、
庭園の苔や芝生の上に落ちた葉っぱやごみなどを取るのに、
植物をできるだけいためずに、きれいに掃くために、
庭師がいつも使っている道具です。
現在では、庭師が手箒を自分で作る人は減りましたが、
以前は、雨で仕事ができない時に、自分で作っていました。
家の掃除でも役立つので、
毎年体験希望者の行列ができるほど、人気なんですよ。
庭師だけでなく、なかなかお目にかかれない職業の職人さん達のお話が聞けたり、
普段は見られない手仕事を、間近で見ることができる、めったにないチャンスです!
興味のある方は、是非、お越しくださいね。
当日は、当店の代表も手箒づくりの指導をさせていただいてます。
お待ちしています!
詳細については、こちらのホームページでご確認ください。
世界遺産登録5周年、京都の造園屋、岩手県に行く。毛越寺(もうつうじ)の修復工事
2016.07.04
今年6月、岩手県平泉町の金色堂で有名な中尊寺周辺の寺院群が、世界遺産に登録されてから5周年を迎えました。
この6月から7月にかけて、平泉町では記念行事が各地で行われています。
世界遺産登録前に起こった、東日本大震災により平泉町にある毛越寺さんという寺院の庭園が被害を受け、その修復工事に携わらせて頂く機会がありました。
その時のことについて、今回は書かせていただきたいと思います。
毛越寺とは、奥州藤原氏が築いた、平安時代の浄土思想を色濃く残す数少ない庭園として、国の特別史跡、特別名勝(文化財庭園)に指定されています。
他にも、平安時代の浄土思想を反映した庭園としては、京都宇治の平等院が有名ですね。
ただ、毛越寺の庭園はそういった肩書き(?)には関係なく、心が洗われるような本当に美しい庭園です。
震災で最も被害を受けたのは、庭園のシンボル的な存在である、池の中に立つ立石でした。
上記写真中央の立石です。
震災の影響で、高さ約2.5mの立石は30㎝ほど傾いていました。
通常、庭に置かれている石は、地上に見える部分は、その石の高さの3分の2程度で、3分の1は地中に埋まっています。
それによって、石は固定されています。
しかし、毛越寺の立石は、その高さの10分の1程度、30㎝ほどしか地中に埋まっていませんでした。
しかも、建立当時から約25度傾いた状態で立てられており、約4トンもの自重を約800年もの間、保っていたというのです!
その技術の高さには脱帽です。
石の傾きを直すことくらい簡単でしょ、と思われるかもしれませんが、これが意外と大変なんです。
修復にあたっては、池の中なので重機を使えませんし、文化財なので、コンクリートで固めることもできません。
下記の写真のように、人力で修復を行うことになりました。
これには、お寺さんの並々ならぬ努力、ご指導いただいた先生や行政の方々のご協力、関係者が知恵を絞って、取り組んだ結果、修復を成し遂げることができました。
私共は、数多くの庭園の修復を行ってきましたが、今回の修復工事は、震災後の復興のひかりとなるような強い思いが、関係者をつつみ、私共にとっても大変想いの深い仕事になりました。
微力ながら、このような意義深い事業に携わらせていただいたご縁に、大変感謝しております。
当店で携わったこととは関係なく、心から美しいと思える庭園で、個人的にはおおらか、かつ静寂を感じます。
もし、お近くに行く機会があれば、ぜひ毛越寺さんを拝観されることをおすすめいたします。
毛越寺は、平泉駅から徒歩約10分、中尊寺からも車で5分程度です。
ずいぶん前のことになってしまいましたが、その修復工事について、雑誌に取り上げていただきました。
出典『レクサスマガジン2012年3月号』
出典:平泉町作成のパンフレット(作成いただきありがとうございます!)