池の護岸の種類と修理
2016.04.10
今回は池のお話です。
池の周囲にある岸の崩れを防ぐ役割を果たしている部分を護岸といいます。
護岸の形式は色々あり、石積みだったり、木の杭が連続的に打ち込まれていたり(乱杭)、洲浜状になっていたり、それ以外にも様々な形式があります。
また、それらを組み合わせて、池周りを構成することもあります。
最もよく見る形が石積みの護岸ではないでしょうか。
岩波日本庭園辞典より
石積み護岸は比較的丈夫ですが、永久的なものではありません。
池お持ちの方、一度池のまわりを観察してみてください。
・崩れかかっていたり
・池に水が溜まりにくかったり
・池のまわりの地面がぐちゃぐちゃするなという事はありませんか?
もしかすると、護岸から水が漏れているかもしれません。
先日、ある庭園の池の護岸から水漏れがあり、水が溜まりにくいとのことで、伝統的な工法で修理を行いました。
まず、石組みを解体して、さらに護岸周囲の緩くなっている土も取り除きます。
そして、もとあったように石積みをしながら、石積みの背面に、粘土等を、ひたすら突き固めて石を固定していきます。
この粘土層が、石積みを固定する役割と水止めの両方の役割を果たします。
実際には、このような感じです。
そして、石積みの目地をひとつひとつ丁寧に埋めていきます。
今回は、文化財の庭園でしたので、上記のような伝統的な工法で行いましたが、現在では石積みをモルタルやコンクリートで固定することが一般的です。
池の護岸ひとつにもいろいろな種類があり、職人の技、手間暇がかかっています。
ぜひ、日本庭園を鑑賞する際、護岸にも注目してみて下さい。