茶庭づくりと飛石
2017.05.17
こんにちは。庭匠植清(にわしょううえせい)です。
一昨日、5月15日は、京都では葵祭でした。
偶然近くを通りかかり、少し見ることができました!
京都に長く住んでいながら、葵祭をきちんと見たことがなく、
来年こそは間近で見てみたいものです。
当店では現在、茶庭づくりをさせていただいてます。
職人たちが、着々と作業を進めています。
これは飛石を打っている(据えている)ところです。
飛石は、自然石で、平らな面がありつつ、
全体に丸みのある石を主に使っています。
茶庭の飛石は、歩きやすさだけでなく、景色としての見え方も大事です。
かの千利休も、飛石の打ち方について「わたりを六分、景気を四分」
と言ったといわれています。
わたりとは歩きやすさ、景気とは景色としての見え方、
趣(おもむき)という感じでしょうか。
その割合を6:4くらいで考えるのが良いという意味だと思います。
歩きやすさだけを考えて、目的地まで真っすぐ同じように、
飛石を打つだけでは、少し寂しいですよね。
飛石の配置を多少ばらつかせたり、樹木をよけるように配置したり、
違った石を組み合わせて使ったり、不自然にならない程度に、
飛石で景色を作るのが、茶庭づくりでは粋とされています。
お施主様や職人の遊び心があらわれるところでもあります。
今回は、比較的広いお庭ですので、
上の写真の丸い庭伽藍(にわがらん)を、ポイントとして使用しました。
余談ですが、千利休の弟子の古田織部は「わたりを四分、景気を六分」
と言ったといわれています。
古田織部は、それまでの常識を破り、斬新な茶の湯の世界観で一世を風靡し、
より遊び心あるデザインや芸術性を重視した有名な茶人です。
このように、“わたりと景色”のバランスは、お施主様しだいです。
使いやすさと同時に美しさも大事にしながら、飛石を一石ずつ、
丁寧に打っていきたいと思います。