庭木の王様!松の冬のお手入れと鑑賞ポイント
2017.01.17
こんにちは。庭匠植清(にわしょううえせい)です。
京都は、ここ数日、雪が降り続き、比叡山は真っ白です。
今日は、庭木の主役である、松のお手入れについて書きたいと思います。
松の手入れは、年2回行うことが一般的で、
春から初夏に行う“芽つみ”と、
秋から冬に行う“葉むしり”があります。
今回は、“葉むしり”について、書きたいと思います。
葉むしり前の松の様子です。
枯れてる!と思われるかもしれませんが、枯れている訳ではありませんよ。
茶色く変色しているのは、去年の葉です。
松は、常緑樹(一年中葉っぱが緑の木)ですので、
古い茶色い葉が残っていると、とても目立ちます。
松の冬の手入れでは、この古くなった茶色い葉を取り、
密になっている、新しい緑色の葉を間引く、
この一連の作業を、“葉むしり”、といいます。
古い茶色い葉を取り払うのは当然ですが、
なぜ、密集した葉を間引くのかご存じですか?
下の写真を比べてみて下さい。
だいぶ印象が違うと思いませんか?
手入れ後は、スッキリして、松の躍動感ある枝があらわれ、
生き生きとして見えませんか。
個人的には、少し下に垂れ下がってきた枝ぶりに、
この木が生きてきた時間を感じ、美しいなと思います。
でも、葉が密集していたら、枝ぶりはわからないですよね。
松はうねるような、独特の枝ぶりや幹肌が特徴で、
それが鑑賞のポイントなので、葉を間引くことで、それらをみせているのです。
古い葉や密集しすぎた葉を間引き、松独特の躍動感ある枝を、
どう見せるかを考えながら、庭師は葉むしりの作業をします。
日本庭園を見学にいく際には、是非、松をじっくりと鑑賞してみて下さい。
いくつかのお庭の松を見比べれば、松の手入れの違いが、きっとわかると思います。
ご自分の好みに手入れされた松を探すのも面白いかもしれませんね。
「あそこの庭の松の手入れのセンスいいよね」なんて言えれば、
あなたはもう庭ツウです!
また、お庭に松をお持ちの方は、松のお手入れについて、
ご自分の好みをリクエストしてみてもいいと思います。
ご自分らしい庭づくりに、ぜひ、チャレンジしてみてください!